チタン溶接

軽い、強い、錆びない。三拍子そろった金属がチタンです。
その歴史は比較的新しく、日本国内で実用化したのは戦後になってからです。
ジェット機やロケット、原子力など先端技術の素材として注目されてきました。


チタン溶接


チタンは非常に優れた特性を持っています。

比重4.51、比強度(重量あたりの強度)88.69という物理特性があり、鉄・ステンレスの約60%の重さで、鉄の1.5倍~2倍の強度が出ます。また、耐食性に優れ海水や錆びに強く、500℃の高温でも有効な強度を保てる耐熱性があります。

メガネフレームや時計、カメラ等の日用品から、趣味のスポーツ・アウトドア用品、自動車部品、医療機器、人工関節、化学プラント、土木、航空宇宙まで。
チタンの用途と可能性は広がり続けています。

チタンの種類



↑ このようにチタン素材は種類が豊富です。
チタンには大きく分けて「純チタン」と「チタン合金」の二つがあります。

添加元素(窒素N、炭素C、 水素H、鉄Fe、酸素O)の量により、純チタンはJIS規格で1種から4種に分類されます。日本国内でよく使われるのは、強度と加工性のバランスが良いとされるJIS2種のチタンです。

チタン合金は、耐食性・強度や加工性の向上を目的として、純チタンにパラジウムPdやクロムCr、ニッケルNiなどを加えた合金です。α型、α-β型、β型、耐食合金という4つのタイプに分類され、成分によって約20種類のチタン合金がJIS規格で規定されています。

しかし優れた特性を持つ分、チタンの加工は難しいと言われており、溶接にも細心の注意が必要です。



チタンの溶接が難しい理由

 ・溶融温度がかなり高い(1,668℃)
 ・高温になると空気中の窒素や酸素と反応する
 ・他の金属よりもブローホールが起きやすい


アルミニウムの溶融温度660℃、ステンレス鋼の約1,440℃に対して、チタンの溶融温度は1,668℃です。したがって、溶接する時の入熱量は多くなります。
しかし、チタンは高温になると非常に活性で、多くの元素と激しく反応します。溶接時に空気中の窒素や酸素と反応することで、チタンは硬化や脆化を起こし、割れやすくなってしまいます。
また、溶接中に気体や水分・油などが入り込んだ場合はブローホール(溶接部の空洞)が発生し、金属疲労によって破断する原因となります。

このようなチタンの特性を理解して対策し、溶接の準備をきちんと行う必要があります。



対策方法

 ・溶接部が空気に触れないようシールドする
 ・溶接部や工具を洗浄し作業環境を整える



チタンを溶接する際はMIG溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接、ろう付け、真空チャンバーなどの方法もありますが、弊社ではTIG溶接で対応しています。

チタンのTIG溶接

チタンのTIG溶接では、トーチからシールドガスを溶接部の周辺に流し、溶けた金属を不活性ガス(アルゴンAr)で覆います。
チタンはアルミやステンレスよりも溶接中に酸化しやすいので、治具でしっかりシールドして溶接部を空気から遮断します。

また、溶接時の異物混入を防ぐため開先の仕上げに注意し、溶接材料や工具は洗浄してから使います。

溶接部の良否は外観の色で判断できます。

右上の写真のように、溶接部の色が 銀 → 金 → 濃青 → 紫 → 虹色 → 青 までなら合格です。
更に酸化が進むと、溶接部の色は になり、強度が著しく低下します。



チタン素材別実績

H4600 板材



JIS試験片

チタン溶接

笙磨溶接では、H4600チタン板材、TB340、TTP340の製作実績があります。
JIS Z 3805チタン溶接技能者資格の取得を目指し、技術の向上に努めています。


サンプル

TB340 丸棒Φ6㎜ 溶接

チタン溶接 チタン溶接
TTP340 Φ89㎜×t2㎜×112㎜のパイプとt5㎜の板を溶接



チタン溶接、TIG溶接(ティグ溶接)のことなら笙磨溶接にご相談ください。



お問い合わせ

お電話・FAX・メールにて、ご相談やご質問などお待ちしております。
(お電話は平日8:30~17:00、メールは24時間受け付けております。)

TEL:053-576-0678    FAX:053-576-0679

メールフォームはこちらです。お気軽にご相談ください。

チタン溶接


笙磨溶接 お問合せはこちらから



[↑ 戻る]


同じカテゴリー(◆チタン溶接)の記事
TIG溶接について
TIG溶接について(2022-07-28 13:14)

チタン製 ペグ
チタン製 ペグ(2022-04-27 11:00)

加工技術について
加工技術について(2022-04-01 16:58)